自治体・教育機関向けの生成AI研修について、実施メニュー・費用の内訳・予算化までの進め方をまとめました。
結論から書きます。いま自治体で研修が必要になっているのは、ツールを配り終えた後です。総務省の最新調査では、都道府県と指定都市の生成AI導入率は100%に達し、その他の市区町村も45.6%が導入済みになりました。一方で課題の1位は「AI生成物の正確性への懸念がある」、2位は「取り組むための人材がいない又は不足している」。ツールは入ったのに、使う職員の側が追いついていない状態です。
この記事は、庁内で研修を提案する立場の方が、そのまま上司や財政担当課への説明に使えることを目指しています。研修に限らない導入全体の進め方や、職員が実際に使える業務の一覧は自治体の生成AI活用ガイド|導入の進め方と職員が使える業務で扱っています。
自治体で生成AI研修が要るのは「ツールを配った後」
総務省「地方自治体におけるAI・RPAの実証実験・導入状況等調査」(令和7年度/令和7年10月31日時点/1,788団体が回答・回答率100%)による、生成AIの導入済み団体の割合です。
| 区分 | 導入済み |
|---|---|
| 都道府県 | 47団体・100% |
| 指定都市 | 20団体・100% |
| その他の市区町村 | 785団体・45.6% |
その他の市区町村も、実証中・導入予定・導入検討中まで含めれば約88%が動いています。「まだうちは早い」と言える段階は過ぎました。お金の問題でもありません。同じ調査で導入コストは「0円」が705件で最多、年間ランニングコストも「0円」が468件で最多です。
詰まっているのは人の側です。導入における課題(全団体・複数回答)の上位はこうなっています。
- AI生成物の正確性への懸念がある … 608件
- 取り組むための人材がいない又は不足している … 558件
- 要機密情報流出の懸念がある … 439件
- 導入効果が不明 … 425件
そのため人材確保の取組では、令和7年度に「職員の育成(研修会の開催など)」が862件で最多になりました。令和5年度343件→令和6年度583件→令和7年度862件と、3年で約2.5倍です。効果の実例も同じ調査にあり、あいさつ文案やメール文案などの文章作成業務で1か月190時間かかっていた業務が51時間に減った(73%削減/人口5.1万人規模の団体)と報告されています。数字は総務省の公表資料から引用しました。庁内資料にはこの一次情報をそのまま参照してください。
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テレビ・新聞で取り上げられました
自治体・教育機関向けの研修メニュー(3コース)
研修は3コースです。いずれも12時間(3時間×4回、2時間×6回など回数の割り方は調整可)。受講人数に制限はなく1名から実施でき、研修後1か月の無料アフターサポートが付きます。対面・オンライン・併用のいずれにも対応します。
| コース | 想定する受講層 | 定価(税込・1名あたり) | 2026年中の価格(20%オフ) |
|---|---|---|---|
| 基礎コース | 初めて触る職員全般 | 40万円 | 32万円 |
| Claude Codeコース | 現場で手を動かす職員 | 50万円 | 40万円 |
| 組織トップ層向けコース | 決裁する立場の職員 | 60万円 | 48万円 |
基礎コース|自分の担当業務で1つ動かす
総務省調査で実際に使われている業務を、そのまま演習の題材にします。回答が多い順に「あいさつ文案の作成」1,292件、「議事録の要約」1,131件、「議会の想定問答の文案の作成」1,085件、「メール文案の作成」1,052件。研修が終わった時点で「自分の課の◯◯という書類を下書きまで持っていける」状態で戻ります。一般論の座学では終わりません。
Claude Codeコース|職員が自分で庁内ツールを作る
表計算のマクロや集計・突合の簡易ツールを、職員自身が作れるようにします。総務省調査でも「ローコードの作成(マクロ、VBA等)」は799件と上位で、ある団体ではマクロの自動生成により累計約4,250時間の削減が見込まれると報告されています(人口9.4万人規模)。プログラミング経験は前提にしません。外注するほどではないが手作業が残っている業務が対象です。
組織トップ層向けコース|決裁する側が判断できるようにする
現場が使えても、決裁する側が「よく分からないから止める」と言えば進みません。どの業務まで任せてよいか、どこは必ず人が確認するか、その線を自分で引けるようにする内容です。課長級以上、または情報政策部門の管理職を想定しています。
費用の内訳|「一式」ではなく分解して出す

自治体では、見積りが予算要求資料と仕様書に転記されます。「研修一式 ◯◯円」では転記できないため、最初から分解した形でお出しします。
- 単価×数量:1名あたりの価格(コース別・上表)×受講人数
- 時間・回数・形態:12時間の割り方(例:3時間×4回)/対面・オンライン・併用
- 含まれるもの:事前ヒアリング、カリキュラム設計、教材、当日の講師、研修後1か月のアフターサポート
- 含まれないもの:会場費、生成AIツール自体の利用料、庁内ネットワークの改修費
総額は「単価×人数」で決まります。1名から実施できるので、まず1部署で試してから広げられます。逆に複数部署を横断して受講者を出し、伴走支援まで含めると数百万円規模になるケースもあります。確定金額は対象業務の棚卸しをしてからお出しします。民間企業向けの料金の考え方はAI研修の費用相場と実額|1人あたりで比べる見積りの読み方で扱っています。
予算要求から執行までのスケジュールに合わせる
民間企業の稟議と、自治体の予算は流れが違います。ここを外すと内容が良くても「今年度は予算がない」で止まります。一般的には次の順序です。
- 担当者が情報を集め、見積りを取る
- 翌年度の予算要求に載せる
- 議会の審議・議決を経る
- 年度が明けてから契約・執行する
つまり、担当者がこの記事を読んでいるタイミングと研修が始まるタイミングは、半年から1年ずれます。この前提でこちらも動きます。
- 予算要求資料にそのまま貼れる形(内訳・時間数・想定する削減時間)で見積りを出す
- 年度をまたぐ前提でスケジュールを引く。年度内の駆け込み契約を前提にしない
- 担当者は決裁者ではないので、上司と財政担当課を説得する材料を先に渡す
補正予算や、既存の職員研修の枠内で小さく始める組み方もあります。使える枠は団体ごとに違うので、相談の場で一緒に確認します。
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入力してよい情報・だめな情報の線引きを研修の中で決める

庁内で研修を通そうとすると、情報政策部門から必ず聞かれます。「そこに何を入力させるのか」。ここに答えられないと話が進みません。
総務省調査では、生成AIに入力してよいとしている情報資産の機密性分類が集計されています(ガイドライン策定済みの団体・複数回答)。自治体機密性1に相当する情報が654件、機密性2が293件、機密性3Cが59件、機密性3Bが49件でした。ガイドラインの策定状況は、策定済み853団体・策定中198団体・未策定737団体。導入済みの団体に限れば81%が策定済みです。
自庁にガイドラインがあるならその区分に沿って組み、まだ無ければ「入れてよい書類」の一覧を作るところから始めます。いずれも一般論ではなく自分の課の実際の書類で確認するので、受講者は「この書類は入れてよい/この書類はだめ」という一覧を持ち帰ります。これがあると、担当者が情報政策部門に説明できます。なお、国のガイドラインそのものの解説や制度・統計の全体像は自治体の生成AIガイドライン|総務省の要点と全国の導入状況で扱います。
教育機関(学校・教育委員会)向けは何が変わるか
文部科学省の「初等中等教育段階における生成AIの利活用に関するガイドライン(Ver.2.0)」(令和6年12月26日公表)は、教職員が利活用する場面と児童生徒が利活用する場面を分けて整理しています。研修も同じように分けて設計します。
- 教職員の校務:通知文・保護者向け文書・指導案の下書き、アンケートの集計など。自治体職員向けとほぼ同じ設計で組めます
- 児童生徒の利用:「使わせる/使わせない」の二択ではなく、どの学習場面でどこまで認めるかを決める話です。ガイドラインのチェック項目をそのまま教材に使います
教育委員会が域内の学校に展開する場合は、まず管理職と情報担当教員に実施し、そこから各校の校内研修に降ろす形が組みやすくなります。まず1校だけで試すこともできます。
松江市「MIX PoC」第7号に採択された実績

合同会社Yukarimiは、MATSUE起業エコシステムコンソーシアム(会長=松江市長、松江市新産業創造課が事務局)の「MIX PoC(事業開発・検証サポート事業)」に第7号として採択されました(2026年6月11日発表)。松江市内の中小企業を対象に「実業務直結型」のAI研修を実施し、研修後の伴走支援まで行う内容です。
正直に書くと、これは市内企業を対象とした事業であって、庁内職員向けの研修そのものではありません。ただ、自治体の事業として審査を通り、公表されているという点は庁内で説明するときの材料になります。前例を求められたときに、「民間企業が自社サイトで言っているだけ」ではない状態から話を始められます。
Yukarimiは島根・松江を拠点のひとつとする会社です。人口規模の大きくない自治体で、限られた人数の職員がどう回しているかを前提に研修を組めます。
まとめ|まず「置き換わる業務」を3つ選ぶところから
- 導入率は都道府県・指定都市が100%、その他市区町村が45.6%。検討中まで含めると市区町村の約88%が動いている
- 導入コストは「0円」が最多。詰まっているのは人の側で、課題1位は正確性への懸念、2位は人材の不足。「職員の育成(研修会の開催など)」は862件で最多、3年で約2.5倍
- 研修は3コース・各12時間・1名から。1名あたり32/40/48万円(2026年中・税込。定価40/50/60万円の20%オフ)、研修後1か月のアフターサポート付き
- 見積りは「単価×人数」の内訳で出すので、予算要求資料と仕様書にそのまま転記できる。年度をまたぐ前提でスケジュールを引く
最初の一歩は研修の契約ではありません。いま自分の課で「これが減ったら助かる」という業務を3つ挙げることです。そこが決まれば、研修が要るのか、ツールを1つ入れれば済むのか、そもそもAIに向かない業務なのかが分かります。
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