# 生成AIで議事録を作る方法|ツールを買う前に決める3つと、そのまま使えるプロンプト
「生成AI 議事録」で検索すると、ツールの比較記事が並びます。13選、18選、12選。どれも丁寧に作られていますが、読み終わったあとに残るのは「で、うちはどれを買えばいいのか」という同じ迷いです。
当社はAI議事録ツールを販売していません。AI研修・AI導入支援を通じて生成AIを業務に載せる側にいる立場から言うと、議事録のAI化がうまくいくかどうかは、ツールの性能ではほとんど決まりません。決まるのは、使い始める前に社内で決めておく3つのことです。
この記事では、その3つと、そのままコピーして使える議事録用のプロンプトを載せます。ツールの比較表は載せません。
結論|議事録の生成AIは「ツール選び」より先に、3つを決めると失敗しない
先に答えを書きます。決めておくのは次の3つです。いずれもツールの機能では代替できず、決めないまま始めると必ずどこかで詰まります。
| 決めること | 決めないとどうなるか |
|---|---|
| 1. どの会議に使い、どの会議には使わないか | 人事や取引条件の会議で使ってしまい、あとから「あれは記録に残してよかったのか」でもめる |
| 2. 文字起こしをどこで作るか | 手持ちのWeb会議ツールで足りたのに、月額のツールを契約してしまう |
| 3. 出てきた議事録を誰がどこまで直して確定させるか | 「AIが作ったもの」が誰の責任でもない文書のまま共有され、直す人がいなくなる |
この3つはツールを買っても解決しません。むしろツールを買うと「導入したのだから使え」という圧力だけが増えて、決めごとの不在が表に出ます。
まずは今ある環境で1回の会議を試し、3つを決めてから、必要ならツールを検討する。この順番です。
自社の会議のどれから試すか迷う場合は、30分・無料・オンライン可の個別相談で、御社の定例会議を3つ挙げていただければ、その場で「使ってよい/やめておく」の仕分けまで一緒にやります。
生成AIで議事録を作る基本の流れ|3工程のうち、AIが担うのは真ん中だけ
議事録の作成は、もともと3つの工程に分かれています。
- 音声を文字にする(文字起こし)
- 文字の山を、決定事項・宿題・論点に整理する(構造化)
- 中身が事実と合っているか確かめて、社内の形式に整えて確定させる(確認・確定)
生成AIが得意なのは2番だけです。1番は文字起こしの機能(Web会議ツールの自動字幕、専用ツール)が担い、3番は人が担います。
ここを取り違えると期待が壊れます。「AIに投げれば議事録ができる」と思って導入すると、1番の精度が悪くて中身が崩れるか、3番を誰もやらずに間違った記録が社内に流れます。
逆に言えば、2番だけを生成AIに任せるなら、今日から始められます。ZoomやTeams、Google Meetの文字起こしを開いて、そのテキストをChatGPTやClaude、Geminiに貼り付ける。それだけで2番は終わります。
生成AIに「どこまで任せるか」の考え方そのものは、生成AIで業務を効率化する方法で3段階に分けて解説しています。議事録は、その中でいちばん下の「下書き係」に当たる使い方です。
決めること1|どの会議に使い、どの会議には使わないか

一番最初に決めるのはツールではなく、線引きです。
議事録のAI化でいちばん困るのは精度ではありません。「その会議、記録に残してよかったんですか」と後から言われることです。会議の音声は、参加者の評価や処遇、取引先との条件交渉といった、本来なら記録に残さない前提で話されている内容を含みます。
判断がその日の担当者の気分でぶれないよう、会議を次の3つに分けておきます。
| 区分 | 会議の例 | 扱い |
|---|---|---|
| そのまま使ってよい | 社内の定例、進捗共有、勉強会、社内プロジェクトの打ち合わせ | 文字起こし→AI整理まで通してよい |
| 参加者に伝えてから使う | 顧客との定例、協力会社との打ち合わせ、社外を含む会議 | 冒頭で「記録のために文字起こしを使います」と伝える |
| 使わない | 人事評価、採用面接、労務相談、懲戒、取引条件の交渉、価格の詰め | 従来どおり手元のメモにとどめる |
3つ目の「使わない」を決めておくことが要です。ここを空白にしたまま始めると、使ってよい会議とだめな会議の判断が、その日の担当者の感覚に委ねられます。
もうひとつ、外部のAIサービスに何を入れてよいかは議事録に限らない論点です。会議の音声にはお客様の社名、個人名、金額が普通に含まれます。判断の基準は生成AIの情報漏洩リスクと対策にまとめてあるので、まだ社内で決めていない場合は先にそちらを読んでください。線引きを一枚の紙にする手順は生成AIの社内ルール・ガイドラインの作り方が担当です。
決めること2|文字起こしをどこで作るか|買う前に、今ある機能で1回試す
次に決めるのは、1番の工程をどこでまかなうかです。ここで多くの会社が、必要のない契約をしています。
判断の順番はこうです。
- 今使っているWeb会議ツールに文字起こし機能があるか確認するZoom・Microsoft Teams・Google Meet には、プランによって文字起こし・字幕・要約の機能が付いています。すでに契約しているプランで使えるなら、追加費用はゼロです。
- 1回の会議で試す出てきたテキストを見て、固有名詞(自社の製品名、取引先名、社内の略語)がどれくらい崩れているかを確認します。
- 崩れ方で判断する
| 文字起こしの状態 | 判断 |
|---|---|
| 固有名詞は崩れるが、話の流れは追える | 買わなくてよい。 崩れた語をプロンプトで補えば実用になる |
| 誰が話したか分からず、話の流れも追えない | 話者分離のある専用ツールを検討する価値がある |
| そもそも文字起こし機能がない(対面会議が中心) | 録音デバイスや専用ツールの検討に進む |
対面の会議が中心の会社は、ここで専用ツールが必要になる可能性が高くなります。逆に、会議のほとんどがオンラインで、すでにTeamsやGoogle Workspaceを使っているなら、当面は追加のツールを買わずに回せます。
比較記事が13選・18選とツールを並べるのは、それが記事の役割だからです。ただ、その前に「今の環境で足りるか」を1回試す工程を挟むだけで、月額の判断はかなり楽になります。
議事録を含めて、生成AIが実際に何分減らしたのかは生成AIで業務効率化した企業事例に業務別でまとめています。
自社の会議環境で足りるかどうかの判断を一緒にやりたい場合は、30分・無料・オンライン可の個別相談をご利用ください。実際の文字起こしを1回分お持ちいただければ、その場で「買う必要があるか」まで見ます。
決めること3|誰がどこまで直して、いつ確定させるか

3つ目が、いちばん飛ばされて、いちばん効きます。
生成AIが出した議事録は下書きです。下書きのままでは、社内の誰も「これが正」と言えません。決めるのは次の3点です。
- 直す人は誰か — 原則は「その会議に出ていた人」。出ていない人が直すと、AIの間違いに気づけません
- どこまで直すか — 全文を読み直す必要はありません。日付・金額・人名・決定事項・期限の5つだけを、記憶と突き合わせます
- いつ確定させるか — 「会議終了から◯時間以内に共有」と決めます。決めないと、下書きのまま数日たって誰も直さなくなります
「5つだけ確認する」と決めておくのが現実的です。全文チェックを求めると、結局読み直しの時間が戻ってきて、AIを使う意味が薄れます。
生成AIは、聞き取れなかった部分をもっともらしく埋めてしまうことがあります。数字と固有名詞は、必ず出席者の記憶で突き合わせてください。
そのまま使える議事録プロンプト3つ
ここからは実物です。文字起こしのテキストを貼り付ける前に、下の指示文を先に入れて使います。
ポイントは冒頭の用語リストです。自社の製品名・取引先名・略語をここに書いておくと、文字起こしの崩れをAIが自力で直してくれます。最初に一度作れば、あとは使い回せます。
型1|決定事項とToDoだけを出す(社内定例向け)
あなたは議事録担当者です。以下の文字起こしから議事録を作ってください。
【この会議で使われる用語】
・◯◯(自社製品名)/・△△社(取引先名)/・「ヨロク」=予算確保の社内略語
※文字起こしで別の語になっている場合は、上記に読み替えてください。
【出力の形式】
1. 決定事項(箇条書き。決まったことだけ。検討中のものは入れない)
2. ToDo(「担当者/内容/期限」の表。期限が会議で決まっていないものは「期限未定」と書く)
3. 次回に持ち越した論点(箇条書き)
【守ること】
・文字起こしに書かれていないことは補わないでください
・聞き取れていないと判断した箇所は[不明]と書いてください
・雑談・脱線は省いてください
【文字起こし】
(ここに貼り付け)
型2|言った・言わないを残す(社外・条件がからむ会議向け)
あなたは議事録担当者です。以下の文字起こしから、あとで見返せる記録を作ってください。
【この会議で使われる用語】
(上と同じ形式で記入)
【出力の形式】
1. 双方が合意したこと(誰の発言に基づくかを「(弊社◯◯)」「(先方△△様)」の形で必ず添える)
2. 合意に至っていないこと(現時点の双方の立場を並べて書く)
3. 持ち帰り事項(どちらが持ち帰ったかを明記)
4. 次のアクションと時期
【守ること】
・推測で補完しないでください。曖昧な箇所は[要確認]と書いてください
・金額・数量・日付は、文字起こしにある通りの数字をそのまま使ってください
・合意したことと、検討にとどまることを混ぜないでください
【文字起こし】
(ここに貼り付け)
型3|次のアジェンダまで出させる(プロジェクト定例向け)
以下は週次プロジェクト定例の文字起こしです。議事録と、次回のアジェンダ案を作ってください。
【出力の形式】
1. 今週の進捗(3行以内)
2. 決定事項
3. ToDo(担当者/内容/期限)
4. 詰まっている点と、その原因(会議で語られた範囲のみ)
5. 次回アジェンダ案(3〜5項目。3と4から機械的に作ってください)
【守ること】
・5については、あなたの提案ではなく、今回の会議で残った宿題から作ってください
・文字起こしに無い課題を追加しないでください
【文字起こし】
(ここに貼り付け)
3つとも、共通して入っているのが「書かれていないことを補わない」「不明な箇所は[不明]と書く」という指示です。これがないと、生成AIは空白を自然な文章で埋めてしまいます。埋められた文章は読みやすいので、かえって間違いに気づけません。
指示文の書き方そのもの(何を書くと出力が安定するか)は業務で使えるプロンプトの書き方に型としてまとめています。
うまくいかない5つのパターンと、直し方

現場で実際に起きるのは、だいたいこの5つです。
| 起きること | 原因 | 直し方 |
|---|---|---|
| 固有名詞が全部おかしい | 文字起こしの段階で崩れている | プロンプト冒頭の用語リストに、自社と取引先の名前を10個ほど書いておく |
| 決まっていないことが「決定事項」に入る | AIが検討中の発言を決定と読み違える | 「検討中のものは入れない」を明示。出力後、決定事項だけは出席者が目で確認する |
| 誰の発言か分からない | 文字起こしに話者情報がない | 型2のように「(弊社◯◯)」の形式を指示する。それでも足りなければ話者分離機能のあるツールを検討 |
| 長い会議で後半が雑になる | 文字起こしが長すぎて処理しきれていない | 前半・後半に分けて2回に分けて渡し、最後に2つの議事録を統合させる |
| 作ったのに誰も読まない | 出力が長すぎる | 型1のように「決定事項とToDoだけ」に絞る。全文の記録は文字起こしを残せば足りる |
最後の1つが実は一番多い失敗です。生成AIは指示しないと丁寧に書きすぎます。議事録は短いほうが読まれるという前提で、出力形式を絞ってください。
時間はどれだけ減るのか|「作る時間」は消えても「確かめる時間」は残る
最後に、期待値の話をします。
生成AIで消えるのは、録音を聞き直して要点を書き起こす時間です。ここは大きく減ります。一方で、内容を確かめる時間は残ります。むしろ、人が自分で書いた議事録には確認工程がなかったぶん、AI化すると新しく発生します。
ですから、社内に説明するときは「議事録がゼロ時間になる」ではなく、「書く時間がなくなって、確かめる時間だけになる」と伝えてください。この説明にしておくと、確認工程を飛ばす人が出にくくなります。
そして確認を5項目(日付・金額・人名・決定事項・期限)に絞っておけば、その時間も数分で済みます。
よくある質問
Q. ChatGPT・Claude・Gemini のどれが議事録に向いていますか。<br>どれでも型1〜3のプロンプトは動きます。長い会議(1時間超)の文字起こしを一度に渡したい場合は、一度に読み込める文字数が多いものが扱いやすくなります。まずは会社ですでに契約しているものを使ってください。使い分けの考え方はChatGPTとClaudeの違いで比較しています。
Q. 無料プランでも業務に使えますか。<br>文字起こしが手元にあるなら、整理の工程(2番)は無料プランでも動きます。ただし業務で使う場合は、入力した内容が学習に使われない設定になっているか、契約プランの条件を必ず確認してください。判断の基準は生成AIの情報漏洩リスクと対策に整理しています。
Q. 議事録の専用ツールは、結局買うべきですか。<br>対面の会議が多い、参加者が多くて誰の発言か分からなくなる、会議の本数が多くて運用を仕組みにしたい——このいずれかに当てはまるなら検討する価値があります。当てはまらないなら、まずは今の環境で1か月試してから決めて遅くありません。
Q. 社内に広げるにはどうすればいいですか。<br>プロンプトを個人が持たず、共有フォルダに置いて全員が同じものを使うところから始めてください。1人だけが上手くなって終わる状態を避けるのが、定着の分かれ目です。社内に広げる段取りは中小企業のDXは何から始めるか、教える人の育て方はAI人材育成の進め方【中小企業向け】を参照してください。社外の手を借りるべきか迷う場合は中小企業のDX支援は誰に頼むかで頼み先を5つに整理しています。
まとめ|今週の1回の会議から始める
やることは3つだけです。
- 今週の社内定例を1つ選ぶ(人事・評価・条件交渉が絡まないもの)
- Web会議ツールの文字起こしをオンにして、終わったらテキストを取り出す
- 型1のプロンプトに用語リストを足して、貼り付けて回す
出てきた議事録を見て、5項目(日付・金額・人名・決定事項・期限)だけを確認する。ここまでで、たいてい15分もかかりません。
この1回が終わったところで、この記事の前半に戻って「使わない会議」の線引きを紙に書いてください。順番はこれで合っています。ツールを買うかどうかは、そのあとで十分に判断できます。
自社の会議にどう当てはめるかを整理したい場合は、実際の文字起こしを1回分お持ちいただければ、その場で仕分けまでご一緒します。
まずは30分、無料の個別相談で整理しませんか
30分・無料・オンライン可・売り込みなし。気になっている業務を3つ挙げていただき、その場で「AIに置き換わる/半分楽になる/向かない」に仕分けしてお持ち帰りいただきます。
テレビ・新聞で取り上げられました
